今回は「パレリオンドール」をご紹介いたします。
建物保全の観点から大規模修繕工事を行い、入居者満足度の向上および賃料アップを目的としたエントランスのバリュ―アップ工事を実施しました。

パレリオンドールの前面道路は、埋立て前の旧海岸線に位置しており、その名残として現在も通り沿いに「石垣壁」が連続して建ち並んでいます。今回の計画では、この「石垣」に着想を得て、外構から共用内部へと連続するかたちで「ガビオンウォール（石籠壁）」を新たに設け、街の歴史と調和したデザインに仕上げました。歴史的な背景を活かしながら、緑による快適さと意匠性を取り入れた今回の改修により、パレリオンドールはさらに魅力的な物件へと生まれ変わりました。

※ページ後半には、バリューアップ後の効果を示す【入居者アンケート】を掲載しております。ぜひご覧ください。

既存のコンクリート円柱や段差を撤去し、スロープを新設することでバリアフリー化を実現。さらに、外構には乾燥に強い植物を中心としたドライガーデンを導入し、美しい景観を保てる設計としました。

また、エントランス庇の正面には木調ルーバーを設置し、温かみと洗練された印象をプラス。シンプルな外観にアクセントを加え、来訪者にも好印象を与える空間へと生まれ変わりました。

外構に新設した「ガビオンウォール（石籠壁）」を風除室の壁面にも取り入れ、外と内のデザインに一体感を持たせました。素材感を活かした連続性のある構成により、建物全体の統一感と高級感を演出しています。

さらに、壁面緑化には土を必要としないエアプランツを採用。上部には本物の植物、下部にはフェイクグリーンを巧みに織り交ぜ、見た目の自然さとメンテナンス性の両立を実現しました。視覚的な心地よさと実用性を兼ね備えたデザインにより、入居者への安らぎを与える空間となっています。

殺風景だったエントランス・エレベーターホールには、風除室と同様にガビオンウォールと壁面緑化を施し、自然の温もりを取り込みました。植物は育成用ライトのもとで日々成長し、表情を変える緑の景観が広がります。さらに、壁面を照らすライトにより、陰影が織りなす立体感と奥行きが空間に上質な雰囲気をもたらします。